七五ブログ

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はじめまして

名古屋市瑞穂区に在る本屋・七五書店のブログです。

こちらでは雑誌・児童書を担当するMがおすすめする作品の紹介をさせていただいております。
基本的にネタバレなしです。

新刊・入荷情報などは、<リンク/お知らせ>にあるTwitter、Facebookからお入りくださいませ。

主に「小説・ノンフィクション」「コミック」「児童書」に分類しております。
ブログ右手(PC版では)のカテゴリ欄もどうぞご活用くださいませ。

場合によっては店頭在庫がないこともございます。
ご了承くださいませ。
(2017年7月)

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# by 75bs | 2018-12-31 23:59 | はじめまして | Trackback | Comments(0)

『ラブセメタリー』

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『ラブセメタリー』
木原音瀬・著 / 集英社 1300円+税
甥に対する密かな欲望を抱え、妄想に囚われ苦しむ百貨店のエリート外商・久瀬圭祐。その思いがいつか暴走するのではと恐怖し、治療を求めて精神科クリニックを訪れるのだが―。小学校教師の森下伸春は遠い昔、幼い少女に繰り返し恋をした。その嗜好の果てに待っていたものは…。欲望に弄ばれる二人の男と、その周囲の人たちの心の葛藤をリアルに描いた、異色の連作小説。BL界の巨匠・木原音瀬が挑んだ衝撃作。
[BOOKデータベースより]
木原氏の作品は、ふと手に取った蒼竜社のノベルス・講談社文庫としても出ている『箱の中』のコミック版を拝読した時に大衝撃を受けて以来、全てではありませんが好んで読んでいるBL作品です。

この度発売されたこの『ラブセメタリー』は、そんな初めての木原作品で受けた衝撃以上の、大激震でした。

なんと言って紹介したらいいのか・・・かなりの時間を考えたつもりですが、なかなかいい案が浮かんできません。そんなとき、こちらでも何回か書きました私の「BLの師匠」のお店のPOPを拝見させていただく機会があり、「これだ!}と目を見張りました。師匠、流石です。
「紹介に使ってもいいよ。^^」と許可をいただいたので、そのお言葉を。

これは禁断の恋ではなくて、禁忌の愛の物語です。

既刊のものの中で特殊な環境や生い立ちなどの設定が多く登場してきた木原氏の作品ですが、この『ラブセメタリー』では、一般的よりも自分を律する生活を強いられがちな「エリート」とも言われるの人の内(なか)に潜んでいる、セクシャル・マイノリティの中でもさらに「異端」とか思われる「ペドフィリア(小児性愛)」の苦悩だったので、より一層考えさせられました。

私事ですが20数年来の友人であるゲイ・カップルのおかげで、他の方よりは偏見を持っていないつもりでしたが、「ペドフィリア」は本当に盲点で、読み終えたときにマイノリティのことをわかったつもりになっていた自分を恥ずかしく思ったほどです。

「小児性愛」≠「犯罪」の場合もあることを考えていただくきっかけになるといいとも思うのですが・・・もちろんこれは、本当にとても難しいテーマだとも痛切に感じてもいます。。

ヒトは誰もが多面性を持ち合わせているのに、「他の人」からはそのヒトの側面、とくに「他の人」の価値観の中で受け入れられる部分しか見えないことが多いため、ふとしたことで自分とは違う、受け入れがたい部分を見出だされしまうと、とたんにアイデンティティーを守るが故に羨望から妬みや怖れる気持ちに変わってしまった相手から、排他的に攻められることもあります。

そんな人の混沌とした内面の苦悩、迷走ぶりを、矛盾を大きく含みつつも等身大で、見事な木原節で描かれていると思います。

たやすく受け入れがたいテーマだとは承知しているつもりですが、だれもが自分の立ち位置も先行きも不安定な今のこの世の中で、他人や自分を見据え、肩の力をゆるめていとおしいこの現状を生き抜いていくためにも、ご一読いただけたらと思う一冊です。

 (M)



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# by 75bs | 2017-09-19 15:34 | 【おすすめ/BL・百合】 | Trackback | Comments(0)

『遺産ゲーム』

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『遺産ゲーム』
藤原一裕・著 / KADOKAWA 1350円+税
新たなるチンピラバディもの誕生!
バカだバカだと思ってた兄貴が、実は一番ヤバイ奴だった……!
狙うは、テレビに映る2億円。完全犯罪は完遂されるのか。
原&英治のチンピラコンビ初お目見えの「別荘」含む7編の連作短編集。
カバーイラストはマンガ家のヨネダコウさん!
[出版社Website作品紹介より]

出版社さんから発売前の作品を読ませていただく機会というものも、本屋の仕事の中にはあったりします。読ませていただくことで、この本はたくさんの方にも読んでいただきたいという販売意欲が湧いて来たりもするのです。

コチラの作品も、そんな見本の一つでした。
初めて聞く作家さんのお名前(ごめんなさい、ピンとこなかったのです。)だなあと、思いつつ、ふと見た表紙絵の見本に目が釘付け・・・。

「これ・・・ヨネダコウさんのイラストだ!! うっわ~ッッ♪」
・・・と、大好きな漫画家さんが描かれた表紙見本を拝見した時点で、私の中で個人的にジャケ買いが決定いたしました。
(重ねての失礼をお詫びいたします。申し訳ありません。)

もちろんその後にはしっかりと拝読しました。

一見すると脈絡のない装いの7つの短編なんですが、どの物語にもオッ?と目を見張る発想が盛り込まれていて、エッ!と息を飲みそうな場面が描かれ、まるで舞台が暗転して早変わりするかのように描かれる場面転換や、オバカな兄貴分・原と舎弟・英治とのコントでも見ているような、思わずクスッと笑ってしまうやりとりなどが見事に相まり、きっと計算されつくしているであろうことが、そうとは微塵も感じさせずにとても密やかに、けれどもしっかりと張り巡らされた伏線がみるみるうちに回収されていく話の流れは秀逸でした。

でも、それもそのはずかもしれません。
読み終えてからお名前を少し調べさせていただいたところ、著者はお笑いコンビ「ライセンス」の藤原氏その人だったです。

読む前からコンビ名と合致していたら、読み方見方が「なるほど、さすがはライセンスの藤原さんだよね~」なんて目になっていたかもしれません。

藤原一裕氏という作家さんの作品として拝読できてよかったと自分は思っております。(ここではバラしてしまいましたが・・・。)

試し読みは → コチラ

僭越ながら、本の帯にコメントを載せていただきました。そちらもご笑覧いただけると幸いです。

(M)
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# by 75bs | 2017-09-16 11:23 | 【おすすめ/小説等】 | Trackback | Comments(0)

『黒い波紋』

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『黒い波紋』
曽根圭介・著 / 朝日新聞出版 1500円+税
元刑事の加瀬将造は、孤独死した父親宛てに何者かから毎月30万円の現金が届いていることを知る。さらにアパートを片付けると天井裏から古いVHSのビデオテープが。中身を確かめると、そこに映っていたのは・・・。江戸川乱歩賞・日本ホラー小説大賞受賞作家、渾身作!
[出版社Website作品紹介より]
 『熱帯夜』(角川ホラー文庫 日本推理作家協会賞短編部門を受賞)を読んだ時の衝撃は、今も忘れられません。

一話目の表題作で、ドキドキしながらミステリー小説を読み進め、その結末を知ってゾッとする。
そうだった、これはホラー文庫から出ている作品だ。ホラーであり本格ミステリー。

思いが及ばなかったほどの着地点が用意されていて、そこにたどり着くまでの目を見張る伏線回収の仕方に、怖いばかりではなく、体験したことがないほどゾクゾクと震えをも覚える気持ちの高ぶりを感じました。

物語のあちこちには、たしかに様々な伏線が張り巡らされていたのだ。うん、そう、それはとてつもなく緻密に。

本作の作品紹介には書かれていないので、ネタバレ必至のため、そんなにハッキリとは書けませんが

この作品をご紹介してくださった方から、
『黒い波紋』は「社会派ミステリ」で・・・。とは伺っていたはずが、なんだかずっと、いろんな意味で、最後まで騙され続けていた気がします。でも、うん、そうです。とてつもない社会派ミステリでした。

あぁ、曽根氏、流石ですやられましたよ。
素知らぬお顔(文脈)で、物語の本筋をギリギリまで隠していらっしゃった。
そして絶妙なタイミングで、ふとそれを差し出してくる。
そして思わず呆気にとられてしまう、そのタイミングがたまらなく心憎い。

目立たず、控えめに、「爪」の先をも見事に隠し続け、土壇場での圧倒的存在感に「本物」と言うのはこういうものなのかと思わず平伏しそうになるほど際立つ人物像。登場人物のそれを見事に描き切った筆致に感服いたしました。

古いVHSのビデオテープに映っていたもの、それはなにか。
そしてこの物語の結末はいったいどうなるのか。

どうぞドキドキしながらお読みくださいませ。

 (M)

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# by 75bs | 2017-09-14 21:48 | 【おすすめ/小説等】 | Trackback | Comments(0)

『のら犬ボン』

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『のら犬ボン』
たじまゆきひこ・作 / くもん出版 1600円+税
とうさんは、嘘をついていた。ボンを島にすてにきたのだ。

父さんの東京への転勤が決まり、飼い犬のボンと別れることになったとしお。
父さんは、友だちの家にボンをあずけると嘘をつき、橋の向こうの島に、ボンをすてた。

とりのこされたボンは、2匹ののらいぬに助けられて、島で生き始める。

しかし、車にひかれてけがをし、農家の人に見つかり、3匹は愛護センターにとらえられてしまう。

一方、再転勤でもとの家に戻ってきたとしおの家族は、島で必死にボンをさがしはじめるが…。

絵本作家たじまゆきひこが、淡路島の野良犬や、動物保護に関わる人々への取材をもとに描いた、犬と人の関係を鋭く問いかける感動作。
[出版社Website作品紹介より]

タイトルに、子どもの頃、友人宅で譲ってもらい育てていた犬と同じ名前が載っていたので思わず手に取ったのですが、内容はもちろん、作中の動物保護に関わっていらっしゃる方の言葉が胸にズシリときました。

子どもって、無邪気に動物を飼おうと提案します。
大人も動物の生涯の責任を追う覚悟まではせず手元に置くことがあります。

命に対する畏敬の念をもつことの大切さを噛みしめることのできる物語です。

 (M)
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# by 75bs | 2017-09-08 12:29 | 【おすすめ/絵本】 | Trackback | Comments(0)

『AX』

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『AX(アックス)』
伊坂幸太郎・著 / KADOKAWA 1500円+税
最強の殺し屋は――恐妻家。 殺し屋シリーズ最新作!
【伊坂幸太郎史上最強のエンタメ小説<殺し屋シリーズ>、『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる、待望の最新作!】

最強の殺し屋は――恐妻家。

物騒な奴がまた現れた!
新たなエンタメの可能性を切り開く、娯楽小説の最高峰!

「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。
一人息子の克巳もあきれるほどだ。
兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。
引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。

こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。

書き下ろし2篇を加えた計5篇。シリーズ初の連作集!
[出版社Website作品紹介より]
『グラスポッパー』『マリアビートル』に続く殺し屋シリーズ三作目のこちら。

余談ですが、映画『グラスポッパー』が上映されていた頃、好きな芸能人が出ているからそれを観ると言っていた家人は、その前に原作本に読むんだと読み始め、そのまま伊坂作品のファンとなりました。

「え? 殺し屋シリーズ新しいのなの? 蝉も出てくる?」
「ん? うふふ・・・。まあシリーズものですから。どんな風に出てくるかは読んでのお楽しみにね♪」
好きな作家さんの作品を家族と一緒に楽しめるのは本当に嬉しいものです。

家族。

今はたとえ独りでも、どなたにもいるはずの存在。

殺し屋にだって家族がいたって全然おかしくないのです。しかも仕事は冷徹でも家庭では不甲斐なく見える恐妻家・・・。なんて人間味が・・・。

少しだけネタバレ的なことを書きますが、「兜」の妻が、本当に「怖い」わけではないのです。妻のことを「大切に」想うあまりに気を使いすぎてるだけで・・・。

どんな冷酷だとか非情だとか思われて、自分もそう信じて生きてきた人でも、護るべきものができると変わるものです。

人は本当にいろんな側面を持っていて、いつだってどんなふうにだって変われます。

5つの物語から成る短編集ですが、一つの長編小説を読んでいるようでもあり、いろんな意味でラストは胸が熱くなります。(あちこちに張り巡らされた伏線の回収とか、その他いろいろ)

兜の父親としての愛情を受け取って育ったお子さんとのやりとりも素敵です。

「伊坂さんで、ほんっと(愛情溢れる)天才だよね・・・。」

ボキャブラリーが少なすぎて恐縮ですが、そんな風に家人と語り合えるひと時を味あわせてもくれた作品です。

 (M)

 【追記】
一つ忘れてました。
家の冷蔵庫に「魚肉ソーセージ」が常備されるようになりました。^^;
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# by 75bs | 2017-09-07 15:44 | 【おすすめ/小説等】 | Trackback | Comments(0)
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『まっくらやみのまっくろ』
ミロコマチコ 作・絵 / 小学館 1400+税
いったい自分は、何者なのか。
まっくらやみのまっくろは、自分が何者かわからない。でも体の奥から力がみなぎってくる。「ぎゅわーん」。いきなり角が生えてきた!「そうか、ぼくはサイなのか。すごく誇らしい気分だ。」しかしまだまだ変化は止まらない。
まっくらやみのまっくろは、いったい何者なのか?
生き物をダイナミックに描き、国内外で数多の受賞を誇る話題の作家、ミロコマチコが紡ぐ、生命のものがたり。
[出版社Website作品紹介より]

圧倒的な存在感を放つ画力と、意味深い文章。
一見難しそうにも見えますが、大人も子供も目が離せなくなり、心が惹きつけられる絵本を次々を発表されているミロコマチコ氏。

「黒」と言っても、さまざまな色合いがありますよね。
そんな黒色を駆使し、相対する鮮やかな色味とともに描かれる一枚一枚の絵からはほとばしる「生命」が感じられると思います。

<自分がいったい何者なのか>なんてことは、そう簡単にわかるものでもないと思いますが「あぁ、自分は何にでもなれるんだ。」と勇気を奮い立たせてもらえる一冊だと思います。

試し読みは → コチラ

出版社さまからのご厚意で特製カードのご用意ができました。
お買い上げの方に1セット差し上げます。

 (M)
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# by 75bs | 2017-09-04 12:07 | 【おすすめ/絵本】 | Trackback | Comments(0)

『騙し絵の牙』

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『騙し絵の牙』
塩田武士・著 大泉洋・写真 / KADOKAWA 1600円+税
話題作『罪の声』塩田武士の待望の最新刊は、まさかの大泉洋に、騙される!
昭和最大の未解決事件「グリ森」をテーマに描いてから、約1年――。
『罪の声』塩田武士の最新刊は、大泉洋“主演小説”!
塩田武士×大泉洋
新しい<小説の形>がここに! そして最後は“大泉洋”に騙される!

芸能事務所、さらには大泉洋本人との共同企画により、主人公に俳優・大泉洋を「あてがき」して社会派長編小説を執筆。
2013年から構想開始し、プロット改稿を幾度となく重ね、取材・執筆すること約4年。雑誌『ダ・ヴィンチ』連載を経て、この度単行本化!

出版、映像、音楽……エンタメ業界は、スマホと「時間の奪い合い」になった。既存のエンタメ産業は、「過渡期」真っ只中である。
本作『騙し絵の牙』では、出版界のなかでも「レガシーメディア」と言われるようになった「雑誌」の編集部を物語の舞台に、業界全体を映し出して「エンタメ産業のうねり」を圧倒的リアル筆致で描く。
さらに、そんな窮屈な時代に風穴をあけるような、太陽のような明るさと才知に長けた主人公に、俳優・大泉洋をあてがきして物語を創作。実在の俳優と物語の主人公がリンクする、新しい読書体験に!

●痛いほど圧倒的リアリティ、ウィットに富んだ会話の応酬! 「小説のなか」で大泉洋が動く!●
大手出版社で雑誌編集長を務める速水。誰もが彼の言動に惹かれてしまう魅力的な男だ。
ある夜、上司の相沢から自身の雑誌の廃刊を匂わされたことをきっかけに、速水は組織に翻弄されていく。
すると次第に彼の異常なほどの“執念”が浮かび上がってきて……。
斜陽の一途を辿る出版界で牙を剥いた男が、業界全体にメスを入れる!
小説を愛するすべての読者へ贈る一冊。
[出版社Website作品紹介より]
・・・出版社の作品紹介をご覧いただけば、物語が全てお分かりいただけるかなとも思うほど綿密に書いてありますけれど、ご紹介させていただきます。

 「あてがき」とは知らずとも、読みだすと「この主人公って、大泉洋(さん)だよね。」と思いつくほどの筆致で描かれた速水は、多くの方がきっとお持ちになっている「役者・大泉洋」のイメージそのものだと思います。

 出版社なんて特殊な職種じゃん、普通ではあり得ない展開なんじゃないの?ともお感じになるかもしれませんが、そこで働いてる人たちって、ほぼ皆がサラリーマンなのです。

中間管理職な編集長は、匂わされる担当雑誌の休刊のことで上司と部下の板挟みだし、派閥争いなんかも見え隠れし、仕事の振り回されるだけではなく家族との関係だってあります。

そうです、いわゆる一般的な中高年男性となんら変わりがないのです。

物語の中で大泉洋氏が扮する速水の臨場感あふれる姿には、どこかできっと共感をできるはずです。

そして、ラスト。

「はっ!?」
・・・。

業界の端くれにいる私も速水が投げ入れた一矢には、さすがに驚きました。

・・・そうくるか・・・。
・・・本気(マジ)でやられた・・・塩田氏と大泉氏に・・・。

是非、お読みください。

(M)

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# by 75bs | 2017-08-31 12:50 | 【おすすめ/小説等】 | Trackback | Comments(0)

『人形たちの白昼夢』

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『人形たちの白昼夢』
千早 茜・著 / PHP研究所 1400円+税
嘘をつけない男と嘘しか口にしない女が出会った時、物語は動き出す。
『魚神』『男ともだち』の著者が贈る、リアルと幻想が溶けあうような12のショートストーリー。

◎収録作品
【「スヴニール」】声が出なくなってしまった私は、見知らぬ相手からの招待状に誘われ、レストランを訪れる。給仕人にうながされ料理を口にすると、さまざまな情景が浮かんできて――。

【「リューズ」】荒廃した世界。空爆から身を潜め、不思議な「声」に導かれて目を開けると、自動機械人形(オート・ドール)が現れた。豪奢で美しい、暗殺用の人形に連れられて向かった先には――。

【「モンデンキント」】児童文学作家となった私が物語を書き始めた本当の理由。それは中学生のときに出会った、ピアノの上手な男の子との約束にあった。
[出版社website作品紹介より]
幻想的な世界観のデビュー作『魚神』
等身大のリアルな人間像を描いた『男ともだち』

この方はいったいいくつの引き出しをもっていらっしゃるのかしら。
と、千早氏の描き出す物語には、読む毎に感服します。

作品紹介にもあるように幻想的な感覚とリアルな感覚がとても見事に調和され、行間の読ませかたが抜群な物語が連なっているので、次のお話はいったいどんな流れに身を任せられるのかと、はやり出す気持ちでページをめくりつつ、言葉の波間を漂う心地よさも十二分に楽しめるかと思います。

そしてふと気づくキーワードから心の奥底に潜む真実を突かれ、胸を揺さぶられるかもしれません。

 (M)




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# by 75bs | 2017-08-21 12:17 | 【おすすめ/小説等】 | Trackback | Comments(0)

『十三階の女』

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『十三階の女』
吉川英梨・著 / 双葉社 1500円+税
圧巻のインテリジェンス小説が誕生!
警察庁の公安秘密組織『十三階』。この組織は国家の異分子を排除すためには、ときに非合法な捜査も厭わない。若き刑事・黒江律子は北陸新幹線爆破テロを起こした『名もなき戦士団』を殲滅するため、女を使ってまで捜査にまい進する。接触したテロリストを愛してしまったかもしれない――捜査の過程で悩み苦しむ律子は首謀者「スノウ・ホワイト」を逮捕できるのか!? 
[出版社Website作品紹介より]

これ・・・は・・・もしかしたらご意見が二分するかもしれません。
ですが、心を捕まれたら最後まで目が離せない、そんな作品です。

人って、自分が認めたくない短所、自分の中の負の部分を目の当たりのすると思わず反発したくなっちゃうじゃないですか。あ、そう思うのはいまだに人間ができていない自分だけかもしれませんが。

読んでいてそんな気持ちが沸き上がってくるかもしれません。

ですが物語からは、きっと吉川氏はこれを書かずにはいられなかったのだろうという情熱を感じました。

<女って、「慈愛」に満ちてどうしようもなく「冷酷」>

そう思えるほど、特に女性の誰もがきっと内に秘めたる対局する二面を最大の振り幅で描きつつ、「公」と「私」の狭間で揺れ、苦悩し、傷つきながら殻を打ち破ろう、前へと進もうとする姿には心の震えも感じます。

皆さまはどんな読後感をお持ちになったかも、うかがってみたいものです。 

(M)
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# by 75bs | 2017-08-17 17:43 | 【おすすめ/小説等】 | Trackback | Comments(0)

おすすめ本をご紹介しています。 担当:平日午前中勤務・M


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